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旅と仕事は両立できる? – 第3回Xスペース開催レポート【イベントアーカイブ】

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世界一周

2025/9/3

[ 初回公開日:

2025/09/02

旅と仕事は両立できる? – 第3回Xスペース開催レポート【イベントアーカイブ】

音声アーカイブ

はじめに

2025年8月29日、IT+の野口・溝口による第3回Xスペースライブ「アイティプラスの雑談」を開催しました。今回のテーマは「旅と仕事って両立できるの?」。

Studio Design Award 2024 グランプリを受賞した「旅と仕事と」のサイトを見ながら、世界一周の出会いから家庭と働き方、移動がもたらす創造力、挑戦と失敗、そして今後の10年をどう見据えているかまで、私たち自身の言葉で多面的に語り合いました。

この記事ではライブ配信の流れに沿ってその内容をまとめています。

1. 始まりは世界一周から

世界一周に至る経緯と出会い

二人の出会いは2012年、世界一周中のメキシコにあるペンション「アミーゴ」でした。

職種も性格も出身地もまったく違う二人が、偶然同じ宿に滞在していたことから関係が始まりました。溝口はデザイン畑、野口はIT・営業畑とバックグラウンドが異なりますが、その多様性こそが今の強みになっていると感じています。夫婦で世界を巡っていたという共通点もあり、非日常の旅の場で出会った経験が現在のパートナーシップを支えています。
当時はまだ旅行者同士のつながりが希薄な時代。アフリカへの情報が欲しかった溝口に野口がツアー情報を熱弁したのが会話のきっかけでした。小さな偶然が多くの縁を生み、10年以上続く二人の関係へと発展しました。

2. 家族と働き方

10年で30回 – オフィスに行かない働き方

野口・溝口の働き方は、コロナ禍以前から在宅中心の働き方を実践してきました。溝口はこの10年でオフィスに行った回数がわずか30回。

前職では毎日中央線の満員電車に揺られ、終電で帰る生活を送っていましたが、現在は通勤時間を徹底的に減らし、好きな場所と時間で働くことを選びました。子どもが生まれたこともあり、家族の時間を優先するためという理由が大きいです。

野口も新卒時代は田園都市線の満員電車に苦しんだ経験があります。今では「たとえ年収が2倍や3倍になってももうできない」と笑い合うほど、二人とも通勤から解放された生活に価値を感じています。

デジタルデトックスより公私混同

世の中では「休日は仕事を忘れよう」「デジタルデトックスが大切」と言われますが、その考えは良いことであると同意する一方、二人の働き方においては必ずしもそうすべきであるとは考えていません。土日にがっつりパソコンに向かうことは少ないものの、社内メンバーや社内プロジェクト関係者との連絡は休日でも気にせず行っています。仕事と遊び、家族との時間が混ざり合っているからこそ、長期的にこのスタイルを続けられているのだと思っています。
一方で、会社の成長や給与を一度に追い求めることは諦めました。子どもとの時間を優先しつつ、会社の規模拡大や収入アップを求めるのは難しいと判断し、あえて成長スピードを抑えています。器用にこなす人もいるかもしれませんが、二人は「我々には無理」と割り切って、自分たちに合ったペースで事業を進めています。

AI時代だからこそ「体験」

旅と仕事を両立する最大の魅力は、子どもたちにさまざまな体験を提供できることです。八ヶ岳の農家さんにレタスの食べ比べをさせてもらったり、瀬戸内海の漁師さんの船に乗せてもらったり。
例えば瀬戸内海では、渡りガニ漁に出る漁船に子どもたちを乗せてもらいました。船の上で子どもたちが動き回るとつい「危ないからやめて」と言いたくなりますが、漁師さんは「いいじゃん、落ちたら拾えばいいよ」と自然に言われて、確かに瀬戸内海の穏やかな海なら落ちてもすぐ引き上げられますし、「落ちてもいいんだ」という一言に子供も自分も驚き、普段の生活ではまず聞けないその言葉にハッとさせられ、いい意味で衝撃を受けました。

料金を払って参加する体験プログラムではなく、知り合いづての縁でしかできない体験だからこそ価値があります。公私が混ざり合った旅だからこそ味わえるこうした体験が、創造力を育むと実感しています。

3. 動いて縁を紡ぐ – 移動が生む創造力

創造力は移動距離に比例する

「創造力は移動距離に比例する」という言葉がありますが、溝口は世界一周や現在進行中の建築旅、「旅と仕事と| 日本の建築を巡る旅」では、実際に訪れなければ見ることができない色や風景に出会っていると感じています。デザイナーの視点で旅をすると、国によって色使いやビジュアル表現が全く異なることに気付きます。「この国ではこういう色合いなんだ」と、その土地の気候や文化が色に反映されていることを実感するのです。こうした観察や気づきはブログ「世界一周で感じた気候と色と性格の関係性」にもまとめてきましたが、色彩と気候の関係や各国の文化的な特徴は、10年以上前に書いた記事が今でも多くの方に読まれているほど関心のあるテーマです。
旅先で得た経験は自分の中にストックとして蓄積され、クリエイターとしての想像力を豊かにしてくれます。「世界一周も建築旅も、創造力の源泉になっている」と感じています。

4. 新しいことへの挑戦と失敗 – 成功と学びしかない

挑戦には失敗が付きものです。過去10年の間、私たちは大小さまざまなプロジェクトに挑戦してきました。ニュージーランドのオーガニッククッキーの販売やハワイ産ホロホロシュリンプの輸入販売、飲食関連の試みや久米島でのチャレンジなど、どれも手探りではじめたものばかりで、多くが途中で頓挫しました。特にホロホロシュリンプはハワイからの仕入れコストや仕入れ先の環境変化が続き、私たちの規模では継続が難しくなって断念しました。今でも「もうやらないのか?」というお問い合わせをいただくほど世界観や商品自体には需要があっただけに、悔しさも残りますが、為替やサプライヤーとの関係、輸送コストなど輸入ビジネスの難しさを身をもって学ぶことができました。

野口が引用したのは、ドン・キホーテ創業者・安田隆夫氏の成功と失敗ではなく「成功と学びの二つしかない」という言葉。確かに失敗は単なる挫折ではなく、次につながる学びだと共感しました。

Studioを使う前はデザイン案件の受注も不安定で、クライアントワークを安定させるのにも苦労しました。そうした時期を経たからこそ、今の軸となる事業が形になったのだと実感しています。こうした過去の挑戦は世の中でも言われるように10個に1つ成功すれば良いくらいの確率で、今は自社プロジェクト2つがようやく軌道に乗っていますが、その裏には数え切れない試行錯誤と失敗があります。

5. 今の軸にあるもの – ITとデザイン、そして仲間

ノーコードが切り開いた可能性

私たちのビジネスの軸は「ITとデザイン」にあります。しかし、創業以来、社内には本格的なエンジニアが不在です。だからこそ、プログラムを書かなくても使えるITツールやノーコードサービスを積極的に取り入れてきました。WordPressを使っていた時代は、デザイナーが思い描いたレイアウトをコーダーに伝えるのが難しく、余白やフォントの微妙な違いを調整するのに苦労しました。海外のエンジニアと連携した際には、デザインのニュアンスが伝わらず、細かい修正依頼が何度も往復してしまう経験もありました。
そんな中で出会ったのがノーコードツール「Studio」です。自分たち自身で余白やフォントを調整しながら理想のデザインを実現できるようになり、「他人に伝わらないもどかしさ」から解放されました。溝口も一度はBootstrapなどを学んで自力でコーディングしようと試みましたが、性に合わずに断念。今ではStudio以外のツールをほとんど使わないほどになり、どうしてもコードが必要な部分は外部の信頼できるエンジニアにお願いするというスタイルに落ち着いています。得意なことに集中し、不得意なことは無理をしない。それが私たちのやり方です。

やっと成功しはじめた自社プロジェクト

二人が最近ようやく手応えを感じているのが、多肉植物通販tawawa(以下、tawawa)としまなみブルワリー(以下、しまなみ)という自社プロジェクトです。長年の経験とスキル、そして失敗の積み重ねが結実したもので、今後も新規の自社プロジェクトへの取り組みは継続していく予定です。
成功の鍵は、信頼できる仲間とのタッグだと実感しています。かつては「面白そうだから一緒にやりましょう」と勢いで始めることが多く、誰が責任者なのか、どこに情熱があるのかが曖昧なまま進んでしまうこともありました。しかし現在のプロジェクトでは、必要なパーツ(生産者、デザイナー、販売担当など)が揃い、それぞれが自分の役割にコミットしています。関係性が良好なこともあり、プロジェクトが円滑に回っています。

商いは顧客コミュニケーション、KPIより現場感

ビジネスの現場では「KPI(重要指標)」がよく語られますが、私たちはあえて数値目標を細かく設定していません。もちろん製造業においては歩留まりや損益分岐点を意識していますが、しまなみやtawawaでは「いつまでに何個売る」といったきっちりとしたKPIのような計画をあまり立てません。それよりも顧客とのコミュニケーションを最優先し、また、プロジェクトメンバーと直接会ったりオンラインで話しながら改善を重ねています。数値を追うよりも、顔が見える相手の声に耳を傾けることが、長く続ける秘訣だと私たちは考えています。ただし、これはそのビジネスのステージにもよるとも思っています。

ITとAIの進化は追い風

AIが急速に進化する今、ツールへのAI機能組み込みは当たり前になっています。AIは脅威ではなく味方であり、私たちのような小規模チームの生産性を飛躍的に高めてくれる存在だと感じています。最近は、かつて3カ月かかっていたアプリのプロトタイプがAIエージェントとの協働作業により数日で完成するような例も一般的になってきていますし、StudioやShopifyなどあらゆるSaaSがAIと連携し始めています。
私たちも生成AIをキャッチコピーや文章案のブレインストーミングに活用していますが、グラフィック制作においてはまだ慎重な立場です。バナーを大量に作ったりABテストを繰り返すような案件を手掛けていないことも大きいですが、現時点では自分たちの感覚でデザインを作っています。とはいえ、技術の進化には常に目を光らせ、取り入れられる部分は積極的に取り入れていくつもりです。

6. これからへ – 次の10年を見据えて

子どもたちが大きくなり、二家族の子どもの中で最年少が現在7歳というタイミングで、二人は次の10年を考え始めています。送り迎えや保育園通いがなくなり、自分たちの時間が増えた今、新しい挑戦を始める絶好の機会です。
国内外の建築を巡る「建築旅」は現在6カ所目まで進んでおり、残り4カ所を年内に回る予定です。移動距離は4,000kmを超え、旅を重ねるほどに想像力が高まる実感があると言います。グランプリの副賞として始めたこの企画が、来年以降のデザインや企画にどう影響するのか自分たちでも楽しみです。

7. Q&Aからのハイライト

Q.気になっている旅行先(行っていない所で行ってみたい所など)は?

A.・溝口はチベットのラサが念願の地。昔はチベット入国が難しく、裏ルートで入るしかなかったため断念しました。今後機会があれば再挑戦したいと思っています。
 ・野口はパリには行ってみたい、ニューヨークにはまた行きたい。過去に世界一周で訪れた際には予定が合わず、ニューヨークとパリは行けなかったため、訪問したいと思っています。また、仕事でナイジェリアなど未訪問の国へ行くことにも興味がありますが、単なる旅行としての海外旅行には今はあまり興味がありません。

Q.旅と仕事を両立できる会社で働くには?

A.旅と仕事を両立するには、職種やスタイルによってアプローチが異なりますが、共通して求められるのは以下の力だと思います。
・リモートワーク環境での自律:移動中でもパフォーマンスを落とさず、返信や対応が遅れないこと。
・得意分野の掛け算:デザイナーならStudioなどノーコードツールを活用し、地元産品のプロモーションやECコンサルタントなら地域を飛び回りながら仕事をつくる、といった独自の強みがあると強いです。
・旅の経験値:さまざまな移動手段や国・地域での生活に慣れている人ほど、出張や長期滞在も苦にならず、仕事と旅を自然に融合させられます。
また、地域商材のブランディングやEC支援を手掛ける人たちが全国を飛び回りながら仕事をする事例も増えています。自分の強みと旅を掛け合わせ、リモートでも信頼される成果を出すことが、採用への近道だと思います。

Q. Studioやノーコードの未来は?

A. ウェブ制作の未来について溝口は、「AI機能がこれからさらに組み込まれ、機能もどんどん充実していくだろう」と予測しています。その流れの中で、業界は大きく二極化すると感じています。ひとつはがっつり作り込んだフルスクラッチのサイト、もうひとつはコストを抑え運用しやすさを重視したノーコードサイトです。Studioは後者に位置づけられ、企業が自分たちで簡単に更新・運用できる点が最大の魅力だと私たちは感じています。ユーザー企業に寄り添い、社内で使いこなせるようにサポートしていく役割がますます重要になるでしょう。
野口も同意見で、ノーコードやStudioの比重は今後どんどん高まると見ています。Studioは日本発のツールだからこそ日本語のヘルプやサポートが充実しており、秀逸なプレビュー機能や使いやすいデザイエディは初めて触る人でも扱いやすいことが大きな強みです。もちろんグローバルな競合も存在しますが、Studio社内やコミュニティには人柄の良い人が多く、私たちは会社の雰囲気が好きです。Studioの成長に引き続き便乗させていただければと思っています。

8. ライブ配信後のアンケートへの回答

ライブ配信後、視聴者の皆さまにご協力いただいたアンケートの結果といただいたご質問への回答をご紹介いたします。

設問|次回取り上げてほしいテーマ・話題

アンケート回答①
今度広めていきたい事業などありますか?日本全国回られているので、各地でやってみたいことなどありましたらお聞きしたいです!

IT+からの回答(野口)
次のステップとしては、海外とのビジネスを広げられればと思っています。
我々がプロダクトを海外に販売する、海外ブランドの日本進出のパートナーとして中長期で一緒に組む、インバウンドビジネスに携わるなど。もちろん、tawawaやしまなみブルワリーとして、という可能性も十分にあり得ると思います。
これ以上は文字で書くのは難しいので、いつか、どこかでお話しさせていただきますww

アンケート回答②
webサイトに対するアニメーションやインタラクティブな動きはあるべき!の是非について個人的にはそのような表現がカッコいいほど良さそうなwebサイト、といった風潮を感じますが、アイティプラスさんとして、webサイトに対するアニメーションやインタラクティブな動きは一般的なwebサイトにおいて、必須だとお考えになりますでしょうか?(サイトの世界観や企業カルチャー的に必要という場合を除いて)

IT+からの回答(溝口)
使う理由がない場合は個人的には必須ではないと考えています。
例えば、ワクワク感を高めたい、理解度を高めたい、何かしらのトンマナの演出として必要、などの目的があれば必要だと思っていますが、そのような目的がない場合は必須ではないと考えています。

必要がないケースとしては、情報が早くシンプルに見えることが一番の目的、となった場合など。
動くことによって意識が外されてコンテンツに集中ができない、動くこと自体求められていない、という状況は確実にあるかと思っています。

ご協力ありがとうございました!

ご回答いただいた皆さま、貴重なご意見を本当にありがとうございました。
次回以降のライブテーマ選定や改善の参考にさせていただきます。

今後ともぜひご参加ください!

9. まとめ – 旅と仕事は両立できる

今回のXスペースでは、私たち自身の経験をもとに「旅と仕事の両立」について語り合いました。世界一周で出会った二人が、オフィスにほとんど行かない働き方で家族と仕事を両立し、移動を通じて創造力と縁を広げ、失敗から学びながら自分たちのプロジェクトを育ててきたこの10年でした。
旅をすることで得た視点や人とのつながりは、クリエイティブやビジネスに直接影響を与えます。子どもたちとともに現場に足を運び、本物に触れることで、AIやノーコードには置き換えられない体験を蓄積しています。ノーコードやAIなど最新技術も積極的に取り入れ、小さなチームでも大きな成果を出す工夫を続けています。

ライブ配信をご視聴いただいた皆様、さらに本ブログを最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました!

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