2026/9/11
[ 初回公開日:
2026/9/11
]
note 連載「旅と仕事と」⑱ 失敗の博物館:tanicoco ── ログアウトする機能、8,000円

note 連載「旅と仕事と|動いて縁を紡ぐ」⑱ を公開しました。
失敗の博物館、5本目です。今回は「tanicoco(タニココ)」。多肉植物が好きな人だけが集まるコミュニティサービスで、自分の多肉の写真を登録してネットの上に自分だけの棚を作れて、その苗を起点に多肉好き同士で話せる、というものでした。2022年7月1日に始めて、12月31日に終わりました。ちょうど半年です。初期の開発費だけで150万円ほど、使ってくれた人は数十人に届きませんでした。
きっかけは2つありました。Instagramは多肉だけの場所ではなく、当時は言葉を組み合わせた検索もできなかったので、「アリエル 多肉」で絞ることもできない。多肉のことだけを話せる場所があったらいい。そして多肉はいつか枯れるので、いちばんかわいい時期を写真で残して、ネットの上に自分だけの棚を持てたら。当時の仕様書には「自分の好きな苗を自由に並べられる、自分の理想を作れるバーチャルガーデン」と書いてあります。ただ、機能が主だったわけではありません。多肉はニッチな趣味で、近所に気軽に多肉の話ができる人はあまりいない。柱は2つで、Instagramより便利に苗を管理できるアルバムと、多肉好きだけで話せる昔懐かしい掲示板。自分の苗を起点にコミュニケーションが生まれればコミュニティになる、というのが一番のコンセプトでした。
ただ、同じ仕様書の「検討事項」欄に、作る前からこう書いてありました。「バーチャルガーデンを作りたい、という需要がどの程度あるか(啓蒙活動に近いか)」。そう書いたまま、作りました。
写真をトリミングする機能を付けるかどうかで止まった夜のやりとりも、記事に載せています。私、アートディレクターの溝口、そして妻の3人。あのとき私はこう書いていました。「本当は3人くらいターゲットの人に聞きたいところだけど、聞いたらあった方が良いっていうのも間違えないか」。
結論から言うと、私が、そのサービスのユーザーではありませんでした。ただ、それだけが理由だとは思っていません。本質はもう少し手前にあって、コンセプトは良さそうだと思っていても、経営者である私が、時間も気持ちも打ち込めなかった、ということだと思っています。公開した時点で、投稿の削除もログアウトもできないサービスで、追加開発の見積もりには「ログアウトする機能 8,000円」と書いてありました。
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