2025/12/23
[ 初回公開日:
2025/12/23
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Studio Design Award 2024 グランプリ副賞企画 —『日本の建築を巡る旅』全10回で得られたものとは? | 第7回 アイティプラスの雑談【イベントアーカイブ】

- はじめに
- 1. 副賞100万円で「建築旅」を選んだ理由
- 2. 旅先の選定基準
- 3. 全10回のハイライト
- 第1回:石川・富山
- 第2回:熊本・阿蘇
- 第3回:大阪(大阪・関西万博)
- 第4回:山形
- 第5回:北海道
- 第6回:新潟
- 第7回:島根
- 第8回:群馬
- 第9回:岡山・香川(瀬戸内国際芸術祭)
- 第10回:台湾
- 4. 印象に残った場所
- 5. 建築を見る視点と、制作への活かし方
- 6. 行って見てみたい建築
- 7. 想像力は移動距離に比例したのか
- 8. 事前アンケートQ&A
- Q1. 過去の仕事や経験が、どう今につながっているのか
- Q2. 旅・仕事・家庭のバランスと、そのルーツ
- 9. 配信後アンケート Q&A
- Q1. StudioのワイヤーフレームやデザインのたたきとしてGemini3等の生成AIを活用して進行した、進行している、進行予定の事例紹介があるか
- Q2.旅先での対象のもの(建物やポスターなどなど)を見た時にどうデザインに落とし込んでいるか具体例などあるか
- 10. まとめ
はじめに
2025年12月17日、「第7回 アイティプラスの雑談」をXスペースで配信しました。
今回のテーマは 「Studio Design Award 2024 グランプリ副賞企画 —『日本の建築を巡る旅』全10回で得られたものとは?」 です。
今年の2月に開催されたStudio Design Award 2024 で弊社のサイト「旅と仕事と」がグランプリを受賞し、副賞としていただいた賞金(100万円)の使い道として、#創造力は移動距離に比例するらしい をテーマに、溝口が3月〜12月の10ヶ月間で日本各地の建築を巡る旅を行いました。
配信では、旅の企画背景、訪問先の選定基準、各回のハイライト、建築の見方、仕事や家庭との向き合い方まで、ライブの流れに沿って振り返りました。
旅の記録は、全10回の旅記録をまとめたメディアサイト『旅と仕事と|日本の建築を巡る旅』にまとめています。
(配信は画面共有がないため、サイトを見ながら聴いていただく前提でご案内しました)
1. 副賞100万円で「建築旅」を選んだ理由
⏱ 01:22〜
この建築旅については、「なぜ副賞でやろうと思ったのか」と聞かれることが多いです。
Studio Design Award 2024では、グランプリの副賞として100万円の賞金が新設されました。 今年から始まった副賞制度だったため、過去の受賞者の使い道を参考にすることはできず、 実際に100万円を受け取って、何に使うかはとても悩みました。 飲み会や仕事に使える機器を購入するとしても使い切れない。 意義ある使い方はないかと考えた中で、いくつか案が出て、最終的にこの企画にまとまりました。
検討を進める中で軸になったのは、グランプリを受賞したサイトが「旅と仕事と」だったことです。 「それなら旅に関連することがいい」というところからこの企画案が出てきました。
ちょうど受賞したのが2025年の2月で、3月から12月までを数えると10ヵ月ありました。 月に1回、10万円を目安に旅をすれば、10回で100万円。
あわせて、Studioへの恩返しとして、旅の記録をStudioでメディアサイト化し、 さらに、Studioを使っている方たちに、実際に旅先の場所で会いに行く(裏企画「Studioを肴に飲む」)。 その要素を組み込めば、単なる旅行ではなく、企画として成立するのではないかと考えました。
実際に始めてみると、旅ごとに読み応えのある形で旅記録としてのメディアサイトをまとめたため、移動と制作が常にセットになっており、思っていた以上に時間を使う企画になりました。
手探りの状態でバタバタとスタートしつつも、結果として10回すべてをやり切る形で、この10ヶ月で10回の建築旅を完走しました。
2. 旅先の選定基準
⏱ 05:14〜
全10回の旅先をどう選んだのか、という点も気になるポイントだと思います。
最後の台湾を除くと、日本の各地を回っていますが、選定基準はかなりはっきりしていました。
大きな参考基準になっていたのは、Casa BRUTUSです。
これまでにCasa BRUTUSに掲載された美術館特集や建築特集、旅に関する特集の中で、「いつか行ってみたい」と思っていた場所がいくつもありました。
あわせて、訪れる時期も考慮しました。
北海道は冬を避けたい。
緑のある場所は、緑の季節に行きたい。
建築と季節の組み合わせを考えながら、候補をリストアップしました。
また、Studio公式アンバサダーイベントの存在もありました。
東京のアンバサダーとしてイベントを開催するにあたり、参考にさせていただくため、どこかのアンバサダーイベントも見てみたいという意図があり、その開催地を旅程に組み込んだ回もありました。
3. 全10回のハイライト
第1回:石川・富山
⏱ 07:43〜
第1回目の旅は、まさにCasa BRUTUSを起点に選んだ回でした。
溝口と野口が副賞の使い道を考えていた頃、ちょうど発行されたCasa BRUTUSの表紙を石川県立図書館の写真が飾っていたことがきっかけで、石川県を最初の目的地に決めました。

あわせて、富山にある「SCOP TOYAMA」を現地で見たい、という仕事の目的もありました。
創業支援と住居を併せ持つ施設で、こちらのサイトを制作させていただいたのですが、旅当時はまだリリース前だったため記事には書けませんでしたが、実際に足を運びました。
その他、金沢では、金沢市中心市街地内に複数箇所スペースを有する回遊型の現代アート美術館「KAMU kanazawa(カム カナザワ)」をレンタサイクルで巡りました。

この回のみ写真は、すべてiPhoneで撮影しています。
第2回:熊本・阿蘇
熊本を選んだ理由はいくつかありました。
一つは、安藤忠雄さん建築の「こども本の森 熊本」という子ども向けの図書館があったことです。

もう一つは、熊本の工場に勤務している友人に会う目的でした。
図書館に加えて、阿蘇周辺も含めて回れることから、今回は建築と自然をあわせて見ることをテーマに選んだ旅でした。
溝口の友人の面白(?)エピソードはYoutubeの音声アーカイブでぜひお聞きください。
第3回:大阪(大阪・関西万博)
大阪を訪れた一番の目的は、やはり大阪・関西万博でした。
生きている間にもう一度この規模の万博が日本で開催される可能性はないのではないか、また、子ども達が内容を理解でき、記憶に残るタイミングに一緒に体験しておきたい、という理由から行き先を決めました。
建築として最も印象に残ったのは、やはり大屋根リングでした。
どのパビリオンも良かったですが、大屋根リングの木造による大規模な構造で、木の組み方もカッコよかったです。

『旅と仕事と|日本の建築を巡る旅』では大阪のページを開くと、最初にミャクミャクが表示される構成になっています。
このサイトでは、万博協会に申請を行い、許可を得たうえで公式キャラクターを使用しています。
第4回:山形
山形は、季節を考えて選んだ回でした。
きっかけは、以前に目にしていた Casa BRUTUSの特集で、SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE(ショウナイホテル スイデンテラス 以下 スイデンテラス)を知ったことです。
「いつか泊まりに行きたい」と思いながらも、アクセスの面から家族で行くには難しく、これまで見送っていました。
今回はちょうど良い機会だと考え、 スイデンテラスを目的に山形を訪れました。
施設自体の建築というより、周りの水田などの景観を含めた魅力が大きかったです。
訪れたのは6月下旬。
田んぼの稲が育ち、周囲が緑になる時期を狙いました。
水を張っただけの時期や、稲刈り前の時期など、その季節ごとで違う景観を観れると思います。

一方で、周辺には観光地が多いわけではなく、車がないと移動はしづらい立地でしたが、 スイデンテラスの前後で酒田市、鶴岡市に立ち寄り、酒田市ではNHK朝の連続テレビ小説「おしん」のロケーション舞台にもなったことで有名な山居倉庫などを訪れました。
第5回:北海道
北海道は、建築を目的に選んだ回でした。
日本の面白い建築を調べていく中で、何度も目にしていたのが、イサム・ノグチが設計したモエレ沼公園です。
中でも「青いピラミッド」の存在が印象に残っており、これを見てみたいと考え、モエレ沼公園をメインに据え旅先を選びました。

実際訪れてみて面白かったのが真駒内滝野霊園です。
安藤忠雄氏がリニューアルを手がけた「頭大仏」があり、ドーム状の空間の中央から大仏の頭部だけが見える構成になっています。
霊園でありながら、モアイ像やストーンヘンジのようなモチーフもあり、観光地としても訪れる人が多い場所でした。

滞在中は、大好きなラーメンも巡りました。
第6回:新潟
毎年恒例で訪れている長岡花火大会の前後に、この建築旅を組み込むことにし、新潟市を旅先として選びました。
建築として最も印象に残ったのは、新潟市秋葉区文化会館です。
住宅や学校のあるエリアを歩いて近づいていくと、途中で急に現れる建物で、その立地と建ち方が特徴的でした。

長岡では、青島食堂の本店を訪れ、生姜醤油ラーメンを食べました。
当日は100人以上が並んでおり、1時間以上待つ行列になっていました。
長岡花火大会は本当におすすめです。

第7回:島根
島根は、Studioアンバサダーイベントへの参加を目的に訪れました。
このタイミングで開催されていた他地域のアンバサダーイベントを実際に見ておきたいと考え、旅程に組み込んでいます。
あわせて、現地で建築も巡りました。
一番見たかったのは、島根県立美術館とグラントワです。
島根県立美術館は宍道湖のほとりに位置しており、建物と湖の景観を含めて現地で見たかった場所です。

グラントワは外壁や屋根に石見地方で生産されている瓦が28万枚も使われている外観や、中庭に水を配した構成が見どころだった。

参加させていただいた島根のStudioアンバサダーイベントは、会場がとてもアットホームな雰囲気で進行されており、開催地ならではの空気感を感じる場になっていました。
第8回:群馬
群馬は、最初から目的を白井屋ホテルに絞って訪れた回でした。
宿泊したのは、白井屋ホテルの最上階にあるジュニアスイートルームです。
食事もとても美味しく、ホテルと食事をあわせて利用し、10回の旅の中でも、もっとも宿泊費と食費に費用をかけた贅沢な旅でした。

建築としても印象に残ったのが、既存の旅館の躯体を残したまま改修されている点です。
当時の配管位置をそのまま活かし、アートとしてライトアップしている構成が特徴的でした。
一方で、訪問時は外観が工事中だったため、その点は少し残念でした。

群馬ではその他アーツ前橋や太田市美術館・図書館にも足を運びました。
第9回:岡山・香川(瀬戸内国際芸術祭)
第9回目は、岡山・香川を巡る瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)の回でした。
訪れたのは、瀬戸芸の会期中でした。
建築と美術が一体になっている場所が多い中で、特に印象に残った建築は、直島の地中美術館です。
写真撮影ができない空間ですが、コンクリートを基調とした構成と、安藤忠雄氏による建築としての完成度が強く記憶に残りました。
館内にあるジェームズ・タレルの作品「オープン・スカイ」は、天井が正方形に切り取られ、空そのものが作品として取り込まれています。

あわせて、直島新美術館で展示されていた蔡國強(ツァイ・グオチャン)氏の《ヘッド・オン》(オオカミ)作品はアートとして一番印象的でした。
99体のオオカミが駆け抜ける構成で、その間を歩いて通れる展示でした。
実物は写真で見る以上にスケールが大きく、強い存在感がありました。

瀬戸芸の会期はすでに終了していますが、直島新美術館など一部の施設は、会期外でも訪れることができます。
第10回:台湾
第10回目の旅先は、台湾でした。
「日本の建築を巡る旅」としていたので、台湾に行っていいものか、正直かなり悩みました。
国内では、岐阜や高知も候補に挙がっていましたがタイミングが合わず、また副賞の予算をこのままでは使い切れないのではないか、という大きな課題がありました。
そうした中で選んだのが台湾です。
台湾で個人的に一番好きだった建築は、日本人の伊東豊雄氏が手がけた建築で、台中にある台中国家歌劇院でした。
外観も内部空間も、曲線を多用した構成でモダンながらも可愛い建物でした。

台北や台中、高雄も駆け足で巡りました。
その中で強く印象に残った建築のひとつが、台北にある集合住宅「陶朱隱園(タオジュインユエン)」です。
最初はCGではないかと思うほど特徴的な外観で、見る角度によって印象が大きく変わる建物でした。
実際に現地で見ても、不安定に見える一方で、構造としての強さも感じられる建築でした。

この台湾の旅をもって、全10回の建築旅は完走となりました。
4. 印象に残った場所
全10回を振り返った結果、体験も含めて一番印象に残った建築は群馬で訪れた白井屋ホテルでした。
宿泊と食事を含めた体験全体として、強く記憶に残る回になりました。
一方で、建築そのものとして最も印象に残ったのは、台湾・台中にある国家歌劇院でした。
5. 建築を見る視点と、制作への活かし方
建築は、専門家ではないので、専門的な視点で見ているわけではありません。
景観との関係や、その場に立ったときの空間の心地よさ、かっこいいと感じるか、美しいと感じるか。まずはそうした感覚的な部分を見ています。
コンクリートやレンガ、様々な素材の使われ方。その組み合わせや割合によって、どう見え方が変わるのか。
照明の当たり方や、窓から差し込む光が、空間をどう見せているのか。
建築は「一番大きなアート作品」のような感覚で見ています。
また、建築に触れることで、日々の制作にも少しずつ影響しています。
空間の使い方や余白の取り方、素材や質感の組み合わせ、トーンの設計等。特に、安藤忠雄氏の建築に見られるシンプルなラインはグラフィックの観点でも活かせる部分があると思います。
6. 行って見てみたい建築
今回の旅で、日本国内の主要な建築は多く訪れることができました。
一方で、以前から気になっていながら、まだ訪れられていない建築もあります。
そのひとつが、チベット・ラサにあるポタラ宮です。
建物単体だけでなく、周囲の景観を含めて実際に訪れたい場所です。
ただ、訪れるハードルは高く、すぐに行ける場所ではありません。
いつかの機会に、という位置づけのまま残っています。
7. 想像力は移動距離に比例したのか
今回の旅では、「旅と仕事と|日本の建築を巡る旅」というコンセプトのもと、
「#想像力は移動距離に比例するらしい」というハッシュタグを掲げて進めてきました。
結果として、総移動距離は8,757km。
使用した金額は、合計95万3,672円でした。
想像力がどれだけ上がったのかを、数値で証明することはできませんが、今後生まれる仕事や制作物を見て判断していただけたら嬉しいです。
8. 事前アンケートQ&A
今回の配信にあたり、事前アンケートにもご協力をいただきました。
ご協力くださった皆さま、ありがとうございました。
ここまでの内容に含まれていないご質問を取り上げさせていただきました。
Q1. 過去の仕事や経験が、どう今につながっているのか
最初はグラフィックデザイン中心の会社で働き、その仕事がWebに移った際にも生きていると思います。
また世界一周の旅をした経験が、今の働き方につながっていると思います。
アイティプラスでの仕事を通じて、それまで経験してこなかったWeb業界にも関わるようになり、これまでの経験が結果的にすべて今につながっていると感じています。
Q2. 旅・仕事・家庭のバランスと、そのルーツ
基本にあるのは、家族仲が良いこと、そして家族で過ごす時間を日常の中に組み込んでいることです。
リモートワークを続ける中で、朝食と夕食は必ず家族で一緒に食べています。また、家族全員共通の趣味(阿波踊り)があります。
仕事についても、家族との関係性の延長にあります。
野口家とは家族ぐるみの付き合いがあり、仕事や会社の状況も共有されているため、アイティプラスでの活動や移動についても理解があります。
バランスとしてはプライベートより仕事の割合が大きいこともありますが、いい意味で公私混同しているため、公私の境界が自然に混ざっていると思います。
職種による違いはあるものの、仕事とプライベートのバランスはそもそも取りづらいものです。
その中で、仕事の一部に子どもや家族を巻き込み、一緒に何かをする時間をつくることで、結果的にバランスを取ることができる部分もあると思います。
9. 配信後アンケート Q&A
配信後のアンケートにも、多くのご協力をありがとうございました。
いただいた質問の中から、代表的なものを掲載します。
Q1. StudioのワイヤーフレームやデザインのたたきとしてGemini3等の生成AIを活用して進行した、進行している、進行予定の事例紹介があるか
A. Gemini 3 などの生成AIを使って、サイトのワイヤーフレーム生成を試したことはありますが、現時点では実案件で使用する段階には至っていません。
また、Web制作はStudioを基本としているため、生成AIの活用については、現在Studioが開発を進めている「Studio Assistant」に期待しています。
(Xスペース配信後、このアーカイブブログをまとめている間に、「Studio.Assistant (Beta)」がされました。)
こうしたツールを活用しながら、効率化できる部分は段階的に効率化していければと考えています。
Q2.旅先での対象のもの(建物やポスターなどなど)を見た時にどうデザインに落とし込んでいるか具体例などあるか
A. これまでの蓄積が自然と反映されているため、具体的にどれが何に活用できたのかを切り分けて説明するのは難しいのですが、たとえば「旅と仕事と」のメインビジュアルは、美術館のポスターなどで見てきたレイアウトや見せ方から影響を受けています。
ほかにも、「あそこで見た壁のオレンジ色がきれいだった」「今回のサイトにはこの色が合うかもしれない」といった感覚が、制作の中で生きています。
地中美術館のような、研ぎ澄まされたシンプルな表現をどこかで使ってみたい、と思うこともあります。
レイアウトやカラーなど、グラフィックの観点で、さまざまな場面に活かされている部分は多いかもしれません。
10. まとめ
今回の配信では、副賞100万円を「旅×制作」に変換し、10回分を完走したプロセスを振り返りました。
次回以降の「アイティプラスの雑談」については、形式も含めて検討中ですが、また何かの形で発信を続けたいと思います。
これまで7回のアイティプラスの雑談をご視聴いただき、また、アーカイブブログを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事を書いた人




























